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【小中高校】理科の指導における効果的なICTの活用【GIGAスクール/ICT支援員】

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理科の指導における ICT の活用についてご紹介します。

① 理科の指導において ICT を活用する際のポイント

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一つ目のポイントは ICT を活用する際に求められる観点です。

理科の学習においては、自然の事物・現象に直接触れ、観察・実験を行い課題の把握、情報の収集、処理、一般化などを通して問題を解決する力及び科学的に探究する力や態度を育て、理科で育成を目指す資質・能力を養うことが大切です。

とりわけ、観察・実験などの指導にあたっては直接体験が基本ですが、指導内容に応じて、適宜コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用することによって、児童生徒の学習の場を広げたり、学習の質を高めたりすることができます。

その際の留意点として、 ICT を「観察・実験の代替」としてではなく、理科の学習の一層の充実を図るための有効な道具として位置付け、活用する画面を適切に選択し、教師の丁寧な指導のもとで効果的に活用することが重要です。

 

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二つ目のポイントは、「理科の特質に応じた ICT 活用」です。

例えば、次のような活用が考えられます。

観察・実験のデータ処理やグラフ作成を行うことによって、規則性や類似性を見出すことができます。

ビデオカメラとコンピューターを組み合わせることによって、観察・実験の結果の分析や総合的な考察をすることができます。

センサを用いた計測を行うことによって、通常では計測しにくい量や変化を数値化・視覚化してとらえることができます。観測しにくい現象をシミュレーションすることができます。

観察・実験の過程で、情報を検索することができます。

学習を深めていく過程で、児童生徒が相互に情報を交換したり、説明したりする際の手段として活用することができます。

このように、理科の特質に応じた様々な活用が考えられます。

 

② 資質・能力を育むために理科で重視する「探究の過程」

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今回の学習指導要領の改訂では、児童生徒が「どのように学ぶか」という視点から、【資質・能力を育むために理科で重視「探究の過程」】を明確に示しました。

ここで示した「探究の過程」は、高等学校基礎科目の例ですが、小学校及び中学校においても、基本的には同様の流れで捉えることができます。

理科は、今までの学習指導要領においても、科学的に探究する力と態度の伸長を図ることを目指していましたが、今回の改訂では、より一層充実を図ることとしました。

上記の図は、平成28年12月の中央教育審議会答申で示されたものであり、中学校理科と高等学校理科の学習指導要領解説の中にも掲載されています。

この図の黄色の部分が理科の学習過程の例を示していますが、課題の把握(発見)、課題の探求(追求)、課題の解決という探究の過程を通じた学習活動を行い、それぞれの家庭において、資質・能力が育成されるよう指導の改善を図っていくとが必要です。

 

③ 理科で重視する「探求の過程(中学校・高校)」と「問題解決の過程(小学校)」

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これは、理科で重視する中学校・高校における「探究の過程」と小学校における「問題解決の過程」を比較したものです。

従前から、中学校・高校の学習過程を「探究の過程」と呼び、小学校の学習過程を「問題解決の過程」と呼んでいましたが、どちらの過程も基本的には同じ流れであることが分かると思います。

ではここからは、理科の学習過程を踏まえながら、具体的にどのような場面で ICT の効果的な活用が考えられるか、いくつかの事例を見ていきましょう。

 

小学校理科における ICT 活用について大きく五つに分けて説明します。

・小学校理科における ICT 活用1(情報を集める)

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児童が問題解決を行う際、観察・実験などの結果を基に考察します。

しかし、学習内容によっては、観察・実験などを行うことが難しい場合や、観察・実験などを行っても、考察する際の根拠となる事実を得ることができない場合があります。

そのような時、学習者用端末でウェブサイトにアクセスし、必要な情報を収集し、それを基に問題解決を行うことが考えられます。

例えば、第5学年「天気の変化」では、気象庁などの Web サイトから、雲の動きなどの情報を収集し、その情報を基に、日本付近の天気の変化のきまりについて捉えるといった学習が考えられます。

 

・小学校理科における ICT 活用2(事実を捉える)

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観察・実験などを行っている最中に、状況が刻一刻と変化していく場合があります。

例えば、第5学年「流れる水の働きと土地の変化」では、 人工の流れを作ったモデル実験を行うことが多いと思います。

この実験では、流れる水が土を削ったり、運んだりする様子が至る所で見られ、土地の様子の変化を適切に記録することが難しいものです。

そこで、 ICT を活用し、動画等を撮影・録画することで、後で再生しながら、実験の結果を確認することができます。

結果を明確にすることは、問題を科学的に解決するために大切なことですから ICT の活用は重要な手立てとなります。

 

・小学校理科における ICT 活用3(学びを蓄える)

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理科では、内容の系統性を重視しています。

例えば、「電気」については第3学年「電気の通り道」から、第6学年「電気の利用」まで、 各学年に学習内容が位置づけられています。

そこで、学んだことをタブレット等に蓄積して、それまでの学びを振り返ることで学習への見通しを立てたり、電気についての理解を深めたりすることができます。

また、自分の学びを振り返ることで、自分自身の変容や成長を自覚することも出来るようになります。

 

・小学校理科における ICT 活用4(自然の事物・現象をつなげる)

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第3学年「風とゴムの力の働き」において、「理科の見方・考え方」の一つである、「量的・関係的な見方」を働かせ、学習内容を理解した「こいのぼり」が泳ぐ様子を見たとします。

児童は、「風の力が大きいほど、こいのぼりが元気に泳ぐ」のは、「風やゴムの力の働きの学習と同じ見方をしているんだ」と気付き、その写真などで撮影し、保存しておくのです。

このように、日常生活や自然の事物・現象を見つめ直し、情報を蓄積することで、その後の学習に生かされるばかりでなく、「見方・考え方」を理科の学習と社会をつなぐものとして意識できるようになっていくことも期待できます。

 

・小学校理科における ICT 活用5(情報の価値を高める)

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 第4学年「季節と生物」において、全国各地の児童が自分の地域の桜の様子やその時の気温などを共有することで、たくさんの情報をもとに、季節による植物の成長変化を捉えることができます。

児童一人一人の情報が共有されることで、それぞれの情報の価値が高まるとともに、視野を広げることができるのです。

情報を共有する範囲の規模に関係なく、情報通信ネットワークを活用して、瞬時のうちに情報を共有できれば、児童がより主体的に自然の事物・現象に関わることができるようになります。

 

中学校・高等学校の理科における ICT 活用について説明します。

・中学校・高等学校の理科における ICT 活用1(観察・実験の実施)

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各種センサとコンピュータを用いることで、通常では計測しにくい量や変化を数値化したり、精度の高い測定や多数のデータを取得したりすることができます。

また、生徒一人一人がこれらのデータを自分で取得して、分析・解釈することで、より主体的な探求になると考えられます。

例えば、高等学校の物理・運動量ではスーパースローモーション撮影と動画解析ソフトを用いて、質量の等しい小球の衝突運動を解析することができます。

左のグラフは、2球の中心の位置と時間の関係を表しています。

1/1000秒ごとにデータを取得することで、衝突の瞬間の様子を記録することができます。

右のグラフは、左のデータを表計算ソフトを用いて解析し、2球の速度と時間の関係を表しています。

中学校においても、例えば運動の規則性の単元での活用が考えられます。

次に、高等学校の化学中和滴定の実験における活用例です。

pH センサーからワイヤレスでパソコンにデータを送信し、パソコンでpHの値がリアルに変化していく様子を確認することで、様々な気づきを得ることができます。

なお、紹介したこれらの実験は、個人で実験を行った後、クラス全体でデータを共有し、実験結果を比較して考察することなども考えられます。

 

・中学校・高等学校の理科における ICT 活用2(観測しにくい現象)

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ここでのポイントは、「観測しにくい現象などはシュミレーションを利用することも有効であること」、「個人の観察記録をクラス全体で共有し、考察を深めることができること」です。

高等学校物理、波の伝わり方において、水派の観察を行った後、表計算ソフトを用いて正弦波の式を1次元・2次元・3次元に拡張してグラフ化する学習活動です。

図は、三次元の様子を示しています。

グラフ化した後、マクロを使って、波形を動的に表示することもできます。

中学校の生物分野では、例えば、顕微鏡観察を行う際に、それぞれの生徒が顕微鏡で観察したものを撮影します。

その後、写真を比較したりしてわかったことなどを、ノートパソコンやタブレットなどを用いて記録し、それらの個人の観察記録をクラス全体で共有することでより一層考察を深めることができます。

 

・中学校・高等学校の理科における ICT 活用3(事前事象に対する気付き)

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ここでのポイントは、「自分では簡単に得ることができないデータや、最新の情報、最先端の知見を得ることができること」と、「生徒一人一人が主体的に情報を収集することができること」です。

例えば、地学分野において、気象や天体に関する学習を行う際に、専門機関のホームページ等から日本の気象や天体に関する最新の情報・最先端の知見を得ることができます。

なお、情報通信ネットワークを介して得られた情報は、適切なものばかりでないことにも留意させることが必要です。

情報源や情報の信頼度について検討を加え、利用の際には引用部分を明確にするよう指導することが大切です。

 

・中学校・高等学校の理科における ICT 活用4(表現・伝達)

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ここでのポイントは、「観察・実験のレポートやプレゼン資料などを容易に作成することができること」と、「生徒一人一人が、観察や実験の結果に基づいて、自分の考えを主体的にまとめることができること」です。

この実験レポートのように、 ICT を活用すれば、写真やグラフを要因に挿入することができるなど、表現の幅が広がります。

 

④ 最後に

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最後に、小学校・中学校・高等学校の新学習指導要領における、「コンピューターや情報通信ネットワークなどの活用」に関する記載を示します。

 

2021/1/31

 

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