【ICT活用方法】外国語の指導(英語)におけるICT活用の考え方【解説/小中高校/文部科学省】


【ICT活用方法】外国語の指導(英語)の指導におけるICT活用の考え方【解説/小中高校/文部科学省】 5 | ICT教育

【PR】当サイトのコンテンツはプロモーションが含まれる場合があります。

文部科学省が作成した「外国語の指導(英語)の指導におけるICTの効果的な活用」についてご紹介いたします。

外国語の指導におけるICTの活用について

https://www.mext.go.jp/content/20200911-mxt_jogai01-000009772_13.pdf

外国語教育とICT

こちらは、中学校の学習指導要領「外国語」の目標です。

「外国語による聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くことの言語活動」を通して、コミュニケーションを図る資質・能力を育成する。

これが、外国語教育の大きな目標になります。

「小・中・高とも言語活動を通して、子どもたちに力をつける」ということです。

この言語活動についてポイントは3点です。

子供達が、自分の考えや気持ちを実際に英語を使ってコミュニケーションを図ること。そのために、コミュニケーションを行う・言語活動を行う・目的や場面状況を設定するといったことがとても大事です。

その「目的、場面、状況」を意識できる具体的な活動を設定していきます。

言語活動の種類によって、「聞き手」「読み手」「話し手」「書き手」に配慮しながら、子供たちは主体的、自立的にコミュニケーションを図ろうとする態度、そして実際に図れる力を付けていくと考えます。

では、新学習指導要領でのICT 活用についてどのように記されているか確認します。

「児童生徒の興味関心をより高め指導の効率化を図る、言語活動の更なる充実を図るように有効に ICT を活用しよう」ということです。

高校では言語活動のレベルも高くなるので「キーボードを使って英文を入力するなどの活動を効果的に取り入れることになる」と記されています。

外国語教育におけるICT活用の現状

文部科学省では英語教育における実施状況調査を行っています。

令和元年度の調査結果について上図をご参考ください。グリーンの部分、小学校でも中学校でも高等学校でも、先生方は多くの授業で ICT を活用されています。

具体的な活用については、ブルーとオレンジとなります。

「言語活動で使う」は「50%」に至っておらず、交流や遠隔授業での活用は「10%」に至っていないという現状です。

このことから、外国語教育における ICT 活用は、言語活動での ICT の活用に工夫が求められるということがわかります。

こちらは、 ICT の活用と高校生の英語力の関係を示したものです。

ICT を積極的に活用しないで、高校生の「英語力目標50%」を達成している都道府県はないという興味深い結果が出ています。

このことから、言語活動で ICT を使うことがいかに大切かということがわかります。

小学校外国語教育におけるICT活用の具体例

タブレットを使い、わからない言葉を繰り返し聴いたり、自分の発表を動画に撮ったものを見て、発表のブラッシュアップに使うことができたり、友達と言語活動するやり取りの資料として調べてきたものを示しながらやり取りをすることもできます。

先生はそれらの資料を学級全部で共有し、学び合うこともできます。

教室の中ではなかなか得られない情報を、 ICT を活用することで子どもたちへ簡単に提示するともできます。

今まで一緒に勉強していた ALT が、自国へ戻られた。その ALT から届いた「お手紙」をみんなで読んでみる活動に使ったり、他校のALTからのメッセージを動画で視聴することもできます。

自分の学校以外の友達、児童や生徒と ICT を使ってオンラインで授業を展開することもできます。

それは国内だけでなく、海外の同年代の子供とやり取りをする。あるいは海外の人達と本当に英語を使ってコミュニケーションを図ることも ICTで実現できます。

海外の留学生に、学校の中を紹介して回り自分たちの紹介をする。そんな活動でも ICT が実現します。 

技術の進化により、私たちの生活はずいぶん便利になってきました。その中で、もう外国語教育をする必要がないのではないか?翻訳機に任せればいいのではないか?という声も聞こえてきています。

その声に対し、小学校6年生児童の意見をご参考ください。

児童達は翻訳機を上手く使えばコミュニケーションがより豊かになると感じています。ただし、実際に言葉を自分で使って相手とやり取りをすることからたくさんのことを学べるんだ!そのことがとっても大事なんだ!ということを、児童の感想には書いてありました。

小学校外国語教育で、 ICT をうまく活用しながら、このような感想を持つ子供たちを育て、中学校・高等学校へ送り出しましょう。

中学校外国語教育におけるICT活用の具体例

続いて中学校外国語における ICT の活用そのあり方や、今後の可能性などについて事例を紹介いたします。

まずオンラインコラボレーションのツールを活用した実践です。一番上のコメントは先生が示した課題となり、生徒へ送信します。生徒は受信した課題に対して自分の考えを返信していくといった実践になります。

この学習課題は、生徒同士がチャット上で「外国語」縛りでやり取りをするということも十分可能です。もちろんオンラインですから「即時的なやりとりができる」そういった実践になります。

授業においては、「生徒が学習課題に対し自分の考えを書いて、その書いたものを隣の生徒やグループ内の生徒と交換し合って読み合う」そういう実践は、おそらくすでに行われていると思いますが、この実践を活用すれば隣やグループ内に限らず、学級内のすべての生徒と書くことを通じたやり取りが可能になるということです。

また、多くの生徒が日常生活で使っているであろう「SNS」と似たような機能ですのでより身近に感じ、興味をもって取り組ませることが可能になります。

著:向後秀明
¥1,881 (2023/02/14 21:32時点 | Amazon調べ)

続いての実践です。

文部科学省が提供している「子どもの学び応援サイト」内の動画コンテンツを、「臨時休校中」に視聴するよう先生が生徒へ指示しました。また、視聴した内容について「質問」や「どう思ったか」という課題を「Web アンケートフォーム」を活用し生徒が回答するという実践です。 

学習支援コンテンツポータルサイト(子供の学び応援サイト):文部科学省

また、生徒が自身の回答や考えをコミュニケーションアプリ(teamsやgooglechatなど)から送信できるよう、アカデミックアカウントを取得した事例も御座います。

生徒が自身の「答え」や「考え」を送信すると、自動的に「回答」が返信される仕組みを設定することも可能です。

生徒から送信された「答え」や「考え」は自動的に一覧にまとめられたり、「正答率」をすぐに示したり「回答状況」が一目でわかることも利点の一つです。

きっかけは「臨時休校中」の「宿題」でしたが、生徒と保護者からは大変好評とのことで、学校再開後も毎週末の課題で継続しているようです。

実践された先生は、これまでの「宿題のあり方」を見直す非常に良いきっかけになったとコメントされております。

ICT を活用は授業における実践だけでなく「宿題のあり方」についても色々と改善できる可能性があります。

最後に学校間交流を「テレビ会議システム」を使った実践です。

すでに「海外の姉妹校」や「姉妹都市の中学校」などとの実践が進んでいますが、こちらは「日本国内の他の学校と繋いだ」という実践です。

少子化が進み規模が小さくなり、学校内や学級内だけでは様々な相手とのコミュニケーションを図ることが難しくなる可能性があります。

 ICT機器や無線環境が整備された昨今では、海外に限らず「国内の学校と繋いでコミュニケーションを図る」といった機会を生徒へ提供することも可能です。

このように「ICT」 を活用することにより、これまで出来なかっことや想定していない「言語活動」や「学習の機会」を生徒へ提供することができる、そういった可能性が広がっていきます。

ぜひ積極的に「ICTの活用」を今後も進めていく必要があるかと思います。

高等学校の外国語教育におけるICT活用 

ICT活用で指導や評価を効果的かつ効率的に

指導を効率的に行うことで、外国語による実際のコミュニケーションという「言語活動」の時間を十分に確保することができます 。「ICT」 を活用することで、板書や例示・提示、説明・評価などをより効果的に行えるようになります。

書く活動においては、添削などの指導面において効率化が図られます。

写真や映像を見せることで、理解を促進し、現実感や臨場感を与え、学びの動機付けやきっかけを与えることができます。

ICT活用で授業がもっと魅力的に

ICT を活用し授業で扱う話題に関する実際のニュースや文献などに外国語で触れることができます。その話題について、学校外や外国の人たちとつながって、情報交換や意見交換を、話すことを通して行うことができます。

自分の考えが伝わったり、伝わらなかったりする経験をしたり、多様な考え方や価値観に触れたりすることは、コミュニケーションの学びの場となります。

ICT を活用することで、統合的な言語活動をより効果的に行うことができるようになります。「SNS」上なら時差も関係なく、情報交換や意見交換を外国語で書くことを通して行うことができます。

生徒がパソコンやタブレットで書いたものを、クラスメイトと読みあって外国語で感想の交換をすることができます。

扱う話題に関する資料を外国語で検索し、その話題や課題について調べて、発表資料をクラスメイトと協働で作成しながら、パソコンやタブレットを使ってスピーチやプレゼンテーション、リベートやディスカッションを行うことができます。

今後、生徒が社会生活を送る上で、コンピューター上で外国語のやりとりをする機会が増えることを考えると、キーボードの使用も含めた ICT の効果的な活用は重要です。

ICT を指導に加えることで、生徒が外国語学習に対する意欲をもっと持てるようになると、生徒は外国語の背景にあることもっと知りたくなるでしょう。

外国語でコミュニケーションを図ることができるようになるために、たくさんの教材や自分に合った学習方法があることも分かります。そして、どのように学んでいけばよいかを高校で学ぶことができます。

それが自律した学習者として、生涯、主体的に外国語を学ぼうとする態度を育むことにつながります。

これまで ICT をあまり活用したことがないという先生も、これまで以上に効果的に活用したいと思っている先生も、是非この ICT 活用事例集を参考にされてください。

先生方の魅力的な授業が、高校生の主体的で自律的な学びに繋がることを願っています。

まとめ

ICT を使うことの利点は、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の言語活動の充実につながること、そして学校が世界とつながる本当のコミュニケーションを子どもたちが体験し、外国語、英語でコミュニケーションを図るという楽しさや大切さを感じていくように、 ICT をうまく使っていくことが大切だということです。

https://www.mext.go.jp/content/20200911-mxt_jogai01-000009772_13.pdf

ご参考

https://penginedu.com/2022-07-27-174244/