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【小中学校】技術・家庭(技術分野)の指導におけるICT活用_8

技術分野における ICT 活用について、基本的な考え方について解説させていただいた上で ICT を活用した指導の改善例、その他の活用例について紹介します。

基本的な考え方(ねらい)

「技術分野の学びをより確実なものへと、主体的・対話的で深い学びの実現の視点から改善する」「情報活用能力を育成する」、この二つが重要です。

新学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力の一つとして、「情報活用能力」をあげています。そして、「情報活用能力」を育成するためには、各学校において日常的に情報技術を活用できる環境を整え、全ての教科等においてそれぞれの特質に応じ、情報技術を適切に活用した学習活動の充実を図ることが必要です。

技術分野においても、情報技術すなわち「 ICT」 を活用した学習活動を充実することで、「情報活用能力」を育成することを目指すことが大切です。

一方、技術分野の目標の達成を目指さなければ、技術分野の授業とは言えません。 「ICT」 を活用することでより一層、技術分野の目標の達成を目指した授業となる、すなわち技術分野の学びを改善するということも、「ICT」 を活用する狙いであることは忘れてはいけません。

ではこのような狙いを実現するために、どのように ICT を活用すれば良いのでしょうか?それを考えるためには、狙いの最初に示された「ICTが持つ特性や強みを生かした学びを通して」という言葉です。

「ICT」 だからこそできることを、必要な場面で行うようにすることが大切であり、そのためには ICT の「特性」や「強み」を確認しておくことが必要です。

 「ICT」は多様で大量の情報を収集・整理・分析・まとめ・表現することができます。カスタマイズも容易です。時間や空間を問わずに、音声・画像等を蓄積・送受信できます。つまり、昔のものを利用したり、遠くのものを利用したりといった時間的・空間的制約を超えることができるということです。

さらに、遠くのものを利用するという一方向ではなく、相互に情報の発信・受信のやり取りができるという双方向性を持っています。このような「特性」「強み」を生かすことができる場面を考えることが大切です。

基本的な考え方(ICTの活用による情報活用能力の育成)

そして「特性」「強み」を生かすことのできる場面を考えるためには、目標とする資質・能力を明確にしておくことも大切です。

平成28年12月の中央教育審議会答申では、情報活用能力を「世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉え把握し、情報および情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質能力」と定義しています。そしてこの答申では、従前の「情報活用能力」を「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱で捉えることについても提言されました。

このように、新学習指導要領における、各教科等において育むことを目指す資質・能力と同様の三つの柱で整理したことで、教科等横断的な視点でこの能力を育成する際の「各教科等の役割」を確認しやすくなりました。

基本的な考え方(ICTの活用による「技術分野の学び」の改善)

こちらは、技術分野の目標です。

先述の「各教科等の役割」という視点で確認すると、「知識及び技能」の「情報の技術についての基礎的な理解」や「それらに係る技能」は、「情報活用能力」 であり、情報の技術に関する「思考力、判断力、表現力等」や「学びに向かう力、人間性等」も同様であることがわかります。

そして、他の内容でも 、ICT を活用した学習活動を設定することで「情報活用能力」を育成することができます。このように、情報活用能力を育成するための技術分野の各内容や指導事項の「役割」を確認し、それに応じた ICT の「特性」「強み」を生かした学びを検討することが大切です。ただし、繰り返しになりますが、技術分野の学びを改善するということも ICT を活用する狙いです。

学習指導要領解説においては、技術分野における「コンピューターや情報通信ネットワーク」つまり ICT の活用に関しては、「主体的・対話的で深い学びの実現」を目指して、必要な場面で活用することを求めています。

新学習指導要領では、上図のような学習過程を想定し、全ての内容が「生活や社会を支える技術」「技術による問題の解決」「社会の発展と技術」の要素で構成されていますので、次からは、この学習過程において、「主体的学び」「対話的学び」「深い学び」の実現を目指した ICT の活用について説明させていただきます。

ICT活用による「技術分野の学び」の改善例(主体的な学びの実現)

学習指導要領解説では、「主体的な学び」とは上図のように説明されています。

技術分野の学習過程では、例えば「課題の設定」の場面で、自ら解決したい、解決しなければならない、と思わせることで「学ぶことに興味や関心」を持たせたり、「成果の評価」の場面で、「成長を自覚」させ、次の学びに主体的に取り組むようにさせたりするといったことが考えられます。

ある学校では、内容Dの「(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決」において「お掃除ロボットの動画を観察させる」と言った「 ICT による情報の提示」を工夫することで、自分もこのような問題を解決したいという意欲を喚起」していました。

また「掃除ロボットの動きをシミュレーション」する学習を通して「問題解決の見通し」を持たせていました。

また、内容B生物育成の授業では、表計算ソフトウェアで作成した「デジタル栽培記録簿」に、作物の育成状況を踏まえた作業について、作業時間や経費等も含めて記録すると入った「ICT による学びの記録を活用」して栽培の過程を振り返ることで、成長を自覚させていました。

ICT活用による「技術分野の学び」の改善例(対話的な学びの実現)

学習指導要領解説では、対話的な学びとは上図のように説明されています。

技術分野の学習課程では、例えば「設計・計画」の場面で、自らの考えを「話す」場面を設定することで、思考を整理し、深めたり、他の人の考えを「聞く」ことで、他の人の思考を追体験し、思考を広げたりするといったことが考えられます。

ある学校では、内容Cなどのエネルギー変換の技術などにおいて、開発しようとしている製品に関するアイデアを、ネットワークを通して大型ディスプレイに表示し、自分のアイデアを他者に伝えたり、他者から意見をもらったりといった、協働で意見の整理、意見の共有、比較検討をすることで、思考を深めたり広げたりしていました。

その他にも、共同制作や他校の児童生徒・社会人・外国の人々などとの交流、発表プレゼンテーションや話し合いなどでも ICT を活用することが考えられます。

ICT活用による「技術分野の学び」の改善例(深い学びの実現)

学習指導要領解説では、深い学びとは、上図のように説明されています。技術分野の学習課程では、例えば「課題の設定」から「成果の評価」までの「問題の解決」の場面で「見方・考え方」を働かせて問題を見出して課題を設定し、解決することで資質・能力を育成することが考えられます。

ここでの「見方・考え方」は、技術分野の場合、生活や社会における事象を、技術との関わりの視点で捉え、社会からの要求、安全性、環境負荷や経済性などに着目して技術を最適化することと説明されております。

ある学校では、内容 A 材料と加工の技術において、経済性・安全性などの視点から、製作品の構造の最適化について検討しやすくするために、製作品のアイデアを「3 D CAD」 で表現させていました。

別の学校では、 C エネルギー変換においてグループで開発した自動車モデルの最適化について検討できるよう、モデルを性能・経済性・環境負荷などの視点で評価し、その結果を表計算ソフトウェアを用いてレーダーチャートで表現させていました。

このように、それぞれの学習過程で、何を目的としてどのような学びを実現するのかを明確にし、その効果的な「特性」「強み」を持つ ICT を選択活用することが大切です。

技術分野におけるその他の活用例

技術分野では、これまでも計測・制御のプログラミングが必修となっていましたが、新学習指導要領では、これに加えて従前はソフトウェアを用いて学習することが多かった「デジタル作品の設計と製作」関する内容を、「ネットワークを利用した双方向性があるプログラミングによる問題の解決」としてプログラミングを通して学ぶこととしています。

例えば「ネットワークを利用した双方向性のあるプログラミングによる問題の解決」について、ある学校では、住所などを入力するとその地域の地図が表示され、さらにその地図上に、避難所の場所・避難経路・避難する際に気をつけなければならない事項などが示されるといった、「災害時に高齢者の方々も安心して避難できるようにする避難経路案内コンテンツ」を開発していました。

また、計測・制御については、ある学校ではわずかな操作で、フォークを自由に動かせるようになるといった高齢者や体の不自由な方々が食事を楽しむことができるようにする「食事サポートシステム」の開発をしていました。

参考 プログラミング教育実践事例集

www.mext.go.jp

文部科学省では、令和頑年度に技術分野のプログラミングに関する優れた取組を紹介する「内容D情報の技術」におけるプログラミング教育実践事例集を公表しています。

技術分野におけるその他の活用例

新型コロナウイルス感染症などの影響で、やむを得ず臨時休業行わなければならない場合でも、児童生徒の学習の継続及び学校との関係を維持する、つまり子どもたちの健やかな学びを保障するために、 ICT を活用する場合もあります。

ある学校では、一人で学習できる内容に関しての説明動画や、調査活動のためのリンク集、調査結果などについて生徒同士が意見交換できる掲示板などをまとめた「学習支援サイト」を構築し、それを活用して学習する課題を示すことで家庭など授業以外の場において行う学びを充実しています。

また別の学校では、テレビ会議システムなどを活用したオンライン学習により、学校にいる教師と家庭にいる生徒の間での対面指導や、生徒同士の関わりによる学びを実現しています。

このように ICT は様々な場面で活用が考えられます。皆様も使用できる機器などの条件を踏まえた上で、どのような場面でICTの特性強みを生かすことができるかを検討し、技術分野が育成を目指す資質・能力と「情報活用能力」の育成に取り組んでいただければ幸いです。

 

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