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【悩み】不安を発作に発展させない方法と薬・漢方(予期不安/パニック障害/全般性不安障害/混合性不安抑うつ)

予期不安とは

悩む若い夫婦・カップルのイラスト【線画+塗り】

なんらかの良くない物事が起きること、あるいは自分がその物事に遭遇することなどを想像して不安感を覚えたという経験はありませんか?

また、もしそういう経験があってそれと同じような状況になった場合にその時と同じように不安を感じたという経験がもしあるとすれば、それは予期不安です。

予期不安とは、主に不安障害やパニック障害などを持つ人が発症する漠然とした不安のことで、現代では多くの人がこの予期不安に悩まされていると言われています。

今回は、その予期不安についてその症状と対処方法について解説していきます。

予期不安の症状

予期不安と呼ばれる症状になるまでには、まず突発性の強い不安を自覚する不安発作とも呼ばれるパニック状態になることから始まります。パニック障害でみられる不安症状では、突如として前触れもなく強い不安に襲われ、「動悸」「息苦しさ」「めまい」などを自覚するようになり、ひどい場合には何も明確な理由はないにも関わらず「自分は今にも死んでしまうのではないか」と思うようになってしまうことがあります。

こういった状態は、時間の経過と共にだんだんと落ち着いていくのですが、この発作が繰り返されるようになると「また発作が来るのではないか」という不安が生じるようになり、何も起こっていないのにパニックになる自分をイメージしてしまい「不安感」がどんどんと募っていってしまう状態に陥ってしまいます。

これが予期不安です。

予期不安を自覚するようになると、発作が起きた時にその状況から逃げられないような場所を避ける「広場恐怖」という症状を伴うことがあり、これは「恐怖症」と言って不安障害の一つに分類されています。

この他にも、恐怖症には「社交恐怖」「高所恐怖症」「閉所恐怖症」といった特定の恐怖症などがあります。

予期不安を解消するための対処方法

予期不安を解消するための対処方法は次の三つに分かれています。

1.予期不安を繰り返す理由を考える

今まで自分が自覚してきた予期不安を思い返し、自分の苦手な場面や場所、その時の思いを思い返して原因を探ることから始めます。原因を客観的に理解することで、予期不安が悪化する要因を理解していきます。

2.不安から身を守ろうとしない

非常に難しいことですが、不安な気持ちになった時にその不安を避けようとしてつい安全行動をとりがちになってしまいます。つまり、自分の身を必要以上に守るための行動をとることが多くなるのです。しかし、安全行動ばかりしていると予期不安に過敏になってしまい、結果として発作を起こしそうな場所への恐怖が増大してしまいます。誰しも長い時間が必要になることだということを意識して、徐々に不安から身を守らないようにしていきましょう。

3.自覚症状に対して過剰にならないようにする

予期不安を自覚する人は、発作時の症状と似た自覚症状をも恐れる傾向があります。行動療法などを通して自ら誤解を解いていくようにすることが予期不安を乗り越える際に重要です。

予期不安の治し方

ここまでは予期不安に対する対処方法ですが、次に予期不安の治し方について紹介していきます。

 

①薬物療法

役割が異なる次の2種類の薬を主に服用します.

抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

予期不安からパニック障害になると、何も起こっていないにもかかわらず、突然呼吸困難やめまい、動悸などの強いパニック発作が生じます。このベンゾジアゼピン系の抗不安薬の主な作用は、脳に直接働きかけて発作を抑えることです。

抗うつ薬 (SSRI)

予期不安が続くと、「電車に乗れない」「人混みの中に行けない」などといった生活に支障が出ることがよく言われます。

SSRI 系の抗うつ薬は、脳内神経伝達物質のひとつである「セロトニン」の再取り込みを抑える働きがあり、徐々に予期不安が薄れていくことが知られています。

②認知療法

認知療法とは、「その出来事に対する受け取り方や考え方を認識して行こう」という意味になります。現在の自分にとって好ましくない出来事、状況があればそれを治療に役立てるように自分自身の中で認識を修正していきます。

とある行動をとった際の出来事に対する認知療法の例

行動療法として電車に乗った。そしたら心臓がドキドキした。行動の結果、このように心臓のドキドキを認知したとしましょう。その上でドキドキしたからもう電車に乗らない。これは好ましくない自信の認知になります。

これを修正された認知にすると、「ドキドキしたけど電車に乗れたのは良かった、また挑戦しよう。」

このような具合に自分に起きた出来事を良い方向に認知することが大切です。このような一連のプロセスを「認知療法」と言います。

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③行動療法

予期不安をなくすことが、パニック発作を予防することの第一歩になります。予期不安をなくすために避けていた場所や状況に少しずつ慣れるようにチャレンジしていくのですが、それを行動療法と呼びます。

行動療法の注意点としては、無理なく自分のペースで進めていくことがポイントです。以上が、予期不安の治し方となりますがその他にも漢方薬を利用した治療方法もあるのでそちらを紹介します。

予期不安に効く漢方薬

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)

神経を鎮めて心と体の状態をよくします。また、咳や吐き気を抑える作用もあります。心身ともに疲れやすく、冷え性で繊細な人に向く処方です。特に、喉のつかえ感を訴える時に好んで用いられます。具体的には、不安感や緊張感、イライラ、抑うつ、不眠、神経性の胃炎や動悸、めまい、さらに喘息や気管支炎などにも適応します。

 

 

香蘇散(コウソサン)

軽い発散作用があり、体の熱や腫れ、あるいは痛みを和らげる働きをします。風邪の引き始めに用いる他、頭痛や蕁麻疹などにも適用します。胃腸が弱く繊細で、体力のない人の初期症状に向く処方です。

 

柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

神経の高ぶりを鎮めて、心と体の状態をよくします。具体的には、高血圧や動脈硬化に伴う諸症状、神経症や不眠、また、精神面が関わる動悸や性的機能の低下などにも用います。体力が中くらい以上の人で、肋骨下部が張り胸苦しさのある人に向きます。

 

桂枝加竜骨牡蠣湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)

神経の高ぶりを鎮め、また気力をつけることで心の状態を良くします。具体的には、神経症や不眠、夜尿症、また精神面が関わる動機や性的機能の低下などにも用います。痩せて顔色が悪く、心身の繊細な人に向く処方です。

 

苓桂甘棗湯(リョウケイカンソウトウ)

精神不安のため「ヘソ」のあたりに動悸を感じ、それが時々胸中に突き上げてきたり、お腹がはり胸や喉が塞がって苦しくなったりすることがあります。このような突発的な発作が過ぎてしまうと、何もなかったように普通の状態に戻ってしまいます。

苓桂甘棗湯は、自律神経がバランスを崩して、このようなとりとめのない精神的なトラブルに襲われた時に服用していただく漢方薬です。

もし、ご自身が今現在「予期不安」に似た症状があるなと感じた場合には、一度心療内科などを受診して医師の診断を受けてみるようにしてください。いずれにしても「予期不安」は自分自身の改善させたいという意思が必要となり、その意志を持つというだけでも大変な苦労を伴います。

 

 

安心していただきたいのは、予期不安は決して治らない症状ではありません。かかる時間は人それぞれですが、一歩一歩確実に前へ進んでいくことが重要になってきますので焦らずに治療を行っていきましょう。

予期不安に悩まされている方を支える方へ

体に影響の出る病気に関しては、本人の苦労や工夫などもある程度想像できると思いますが「予期不安」をはじめとした心の病気は、その病気を経験したことがない人はなかなか想像することができません。そのため患者さんの立場に立って、自分だったらどんな接し方をされたいと思うかを考えることが重要です。

迷惑がられたり、不安なんか気持ちの問題だと叱咤激励をするのは患者さんの目線に立てば、気持ちが辛くなることを容易に理解できます。

しかし無理に寄り添ってもらわれても、精神的な負担になるという場合もありえます。患者さんに対して無理に励ますことはせず、いつもと変わらずに接することが本人の気持ちを楽にさせてあげやすい態度になると思います。

これは一例にすぎませんが、周囲ができる患者さんへの支え方を具体的に示すとすれば、まずは生活リズムを整えることを周囲が支えてあげてください。

起床時間や睡眠時間、食事の時間など規則正しい生活を送ることから始める治療ですので、そういったところでの支えというのは必ず必要になります。

治療が始まってからは、「内服の管理」「行動療法の支え」を必要に応じて行なっていただけると本人も助かると思います。

「予期不安」の治療薬の中心となる 「SSRI 系」の抗うつ剤は、飲み忘れなく続けていくことが大前提となります。そして行動療法では、家族が付き添っていることで安心感が生まれます。もしも、本人が「予期不安」からパニックを起こした際は、安心するよう声かけをしたり、息をゆっくり吐かせて呼吸を整えるようにしたり、頓服薬を飲ませたり、圧迫感のない落ち着いたところに移動してもらうなどの手助けをお願いします。

予期不安からのパニック発作は、ご家族も最初は驚くかと思いますが、てんかん発作のように後遺症のようなものが出たりする事はありません。

家族も慌てずに対応してあげることが大切です。

最後に

聞きなれない言葉が多数出てきたと思います。

「予期不安」というタイトルもそうですし、「広場恐怖症」などはじめて聞いた言葉も多かったのではないでしょうか?それくらい、まだまだ「精神科のご病気」や「心療内科のご病気」は皆様に知られておらず、理解が追いついておりません。

このような心理状態になる人もいるということを知っていたくことだけでも意味があることではないかと思います。 

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