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高等学校情報科の指導におけるICT活用_10

新学習指導要領のポイント(小・中・高等学校共通)

情報活用能力が言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」として位置付けられました。総則において、各教科等の特性を活かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものと明記されています。また総則には、学校の ICT 環境整備と ICT を活用した学習活動の充実への配慮が明記されています。

ここで情報活用能力について確認します。

一言で言えば、情報および情報手段を主体的に選択・活用していくための個人の基礎的な力のことで、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度などです。情報活用の実践力としては、課題や目的に応じた情報手段の適切な活用、必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造、受け手の状況などを踏まえた発信伝達などです。取り組み例としては ICT の基本的な操作、情報の収集・整理・発信として文字入力、インターネット閲覧、情報手段の適切な活用などがあります。

情報の科学的理解としては、情報活用の基礎となる情報集団の特性の理解、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善したりするための基礎的な理論や方法の理解などです。取り組み例としては、プログラミングによる問題解決などがあります。情報社会に参画する態度としては、社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響の理解、情報モラルの必要性や情報に対する責任、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度などです。取り組み例としては、情報モラルなどで情報発信による他人や社会への影響等を考える学習活動などがあります。

新学習指導要領の小・中・高等学校別のポイントについて説明します。小学校においては、文字入力などの基本的な操作を習得するとともに、プログラミング教育が必修化されました。総則では、各教科等の特質に応じて、児童がコンピューターで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動や、プログラミングを体験しながらコンピューターに意図した処理を行わせるために必要な、論理的思考力を身につけるための学習活動を計画的に実施することを明記しています。

中学校においては、技術・家庭科技術分野においてプログラミング、情報セキュリティに関する内容を充実しました。例えば、従来の「計測・制御のプログラミング」に加え「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」等について学ぶことになります。

高等学校においては、情報科において共通必須科目「情報Ⅰ」を新設し、全ての生徒がプログラミングの他、情報セキュリティを含むネットワークやデータベースの基礎等について学習することになります。また。「情報Ⅰ」に加え選択科目として「情報Ⅱ」を開設し「情報Ⅰ」において培った基礎の上に、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用し、あるいはコンテンツを創造する力を育成します。

共通教科情報科の目標

新学習指導要領では、すべての教科等の目標について、育成することを目指す資質・能力(何ができるようになるか)と、強化等の特質に応じた学習過程(どのように学ぶか)を明示することになりました。

情報化では、情報に関する科学的な見方・考え方を働かせ、情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動を通して、問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用し、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す、として知識・技能としては、効果的なコミュニケーションの実現、コンピュータやデータの活用について理解を深め技能を習得するとともに、情報社会と人との関わりについて理解を深めるようにすることとしました。

思考力・判断力・表現力等としては、様々な事象を情報とその結びつきとして捉え、問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する力を養うこととしました。学びに向かう力・人間性としては、情報と情報技術を適切に活用するとともに、情報社会に主体的に参画する態度を養うとしました。情報と情報技術を適切に活用することを通して、法規や制度及びマナーを守ろうとする態度、情報セキュリティを確保しようとする態度などの情報モラルを養い、これらを踏まえて情報と情報技術を活用することで情報社会に主体的に参画する態度を養うことを示しています。

情報機器の活用等に関する配慮事項

各科目の目標及び内容等に即して、コンピューターや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れることとしています。これは、授業を計画する際に配慮する必要があります。その際、必要な情報機器やネットワーク環境を整えるとともに、内容のまとまりや学習活動、学校や生徒の実態に応じて、適切なソフトウェア、開発環境、プログラミング言語、外部装置などを選択することとしています。

これは、授業の始まる前年度までに、1年間の学習活動をしっかりイメージして準備する必要があります。生徒が自らの健康に留意し望ましい習慣を身に付けることについては、照明やコンピューターの使用時間などに留意することとしています。照明については、雨や曇りの日でも必要な照度が確保されていることは当然ですが、画面などに照明器具の映り込みがないか、グループ活動などを行う際に照明が不十分な場所ができないかなど、細心の注意が必要です。コンピューターだけでなく、スマートフォンなどについても生徒が自らの健康に留意し望ましい習慣を身につけることができるよう配慮することが大切です。情報技術の進展は目覚ましいものがあります。授業で扱う具体例、教材・教具などについては、情報技術の進展に対応して適宜見直しを図ることが必要です。

高等学校共通教科情報科におけるICT活用

情報科では ICT の活用だけでなく、 ICT そのものについても学び、情報社会に参画するための資質・能力を育成します。情報科の指導の充実を図る観点から ICT の効果的な活用方法や活用場面を考え、実践していくことが重要です。

実習で、コンピューターや情報通信ネットワークなどの ICT を積極的に活用し、アウトプットの質と量を高めることが考えられます。学習活動としては、情報を統計的に処理して判断したり、情報技術を活用して問題解決をしたりするなどがあります。一人一台端末をより効果的に活用すれば、時間・場所等の制約を超えた人材の活用や授業の実施が可能です。

学習指導の準備や評価に ICT を活用し、教師の負担軽減や指導方法等の工夫改善を図ることもできます。クラウド上で進捗状況の把握やドキュメントの共有を行うことで様々なことが実現できます。

意見交換や協働作業を行う際に ICT を活用することで、統計的な判断や情報技術を使った問題解決が可能になります。また時間や場所の制約を超えた授業も可能になります。一人一台端末を効果的に活用してクラウドでドキュメントやプログラムなどを共有することで外部人材等と意見を交換したり、協働作業をしたりすることで高度な授業が可能になります。また教師を含めてドキュメントを共有することで進捗状況の把握もできます。指導と評価もクラウドを介して行うことができます。

(1)情報社会の問題解決

情報Ⅰ(1)情報社会の問題解決では、統計を活用した思考・判断・表現を行います。例えば、観光地の案内板の言語を何にすれば良いかという問題を解決するには、国・地域別訪問者のデータを言語圏ごとに分けて集計して判断する必要があります。

実習では、地域経済分析システムを使うことで可能になります。一人一台端末をより効果的に活用することで、分析方針、解決方針、振り返りなどオンラインの会議等で行いつつ、クラウドワークスペースとして、データを分担して分析し、協働して解決すると共に問題解決のノウハウを蓄積することができます。

resas.go.jp

(2)コミュニケーションと情報デザイン

(2)コミュニケーションと情報デザインでは、デザインするための一連の進め方について ICT を活用して進めることができます。

実習における ICT 活用では、表現・機能・論理、それぞれのデザインについて ICT の活用が考えられます。1人1台端末をより効果的に活用することで、対象・要件定義・評価・検証などをオンライン会議等で行いつつ、情報収集・プロトタイプ作成をクラウド上で協働して行い、アーカイブもクラウド上に作成して、全員が再利用することが可能になります。

(3)コンピュータとプログラミング

(3)コンピューターとプログラミングでは 、Web 上の環境を利用したり、API を活用して人工知能をプログラムに取り入れたりすることができます。計測・制御やアプリ作成、モデル化とシミュレーションなどさまざまなことが可能です。一人一台端末をより効果的に活用することで、オンライン会議で検討しながら、クラウドで成果を確認しつつ開発を進めることができます。

(4)情報通信ネットワークとデータの活用

(4)情報通信ネットワークとデータの活用では、表計算ソフトを利用することで、データを基に法則性を見つけ出したり、見つけ出した法則を使って予測したりするなどが可能です。一人一台端末をより効果的に活用し、オンライン会議で見つけた法則や予測モデルについて検討したり、クラウドにデータと分析結果を保存して発見した法則による予測モデルを構築したりすることも可能です。得られた分析ノウハウをクラウドに保存することで再利用が容易になります。

データの活用では、プログラミング言語を利用することで、似た者同士をグループにしたり、未知のものがどのグループに近いか判断したりすることも可能になります。テキストなどの質的データについては、テキストマイニングなどの方法もあります。1人1台端末をより効果的に活用し、分析・処理方法の検討や結果の検討をオンライン会議で行いつつ、クラウド上で実際に処理を行って協働して分析を進め、そのノウハウを蓄積することができます。

情報化における ICT 活用含めた指導方法等

令和4年度から実施される「情報1」は内容を大幅に充実したため、高等学校情報化担当教員の指導力を高めるために文部科学省では高等学校情報化「情報Ⅰ」教員研修用教材を準備しています。

学習指導要領を元に24の学習項目を作成しており、「情報Ⅱ」ついても同様のものを公開しています。 工夫点としては、研修の目的をチェックリスト形式にするとともに、できるだけ本文を分かりやすい文章で示し、図表を多用しました。演習は研修で学習する内容に関連したものであり、学習活動の目的、展開、問い、指導上の留意点も実際の授業をイメージして作成しています。この研修用教材で「情報Ⅰ」の授業をイメージしていただき、新学習指導要領実施に向けて準備を進めて欲しいと思います。

高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(ダウンロード)

www.mext.go.jp

プログラミングとデータの活用

プログラミングとデータの活用については、情報処理学会が高等学校情報科教員のための動画教材を作成しています。この動画教材は、情報サービス産業界からの支援・協力を得て制作されています。

IPSJMOOC 情報処理学会の公開教材(登録不要、無料)

コンピュータとプログラミング

1.基本的なプログラミング(Python入門)

2.アルゴリズム(Pythonを使ったアルゴリズム入門)

3.モデル化とシュミレーション(Pythonを使ったシュミレーション入門)

sites.google.com

まとめ

高等学校情報科の指導における ICT の活用について紹介しました。情報化は ICT そのものについても学ぶ教科であるため、他教科に比べてより深い活用が可能になります。情報科で身につけた力を他教科でも活かすことができるように、カリキュラムマネジメントを行うことで他教科における ICT 活用を一層進み、生徒の学びの質が向上することが期待されます。 

ご参考

www.penginedu.com